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【マーライオンの目】「国父」への敬愛を実感

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【マーライオンの目】
「国父」への敬愛を実感

 喪服姿の数万人が路上に雑魚寝する光景を目撃するのは、最初で最後だったろう。タイのプミポン前国王の葬儀取材。未明のバンコクの王宮周辺は追悼の国民で埋め尽くされていた。取材場所に徒歩移動しようとしたが身動きがとれず、午前5時の集合時間に1時間以上遅れた。

 タイで大規模集会が開かれると、勝手連も含めた集団が、飲食料配布など至れり尽くせりの世話を焼いてくれる。敬愛する前国王の葬儀とあって慈善活動も普段以上に手厚く、記者もその恩恵にあずかった。

 それにしても暑い。気温は30度超。黒いスーツとネクタイが、汗で体にへばりつく。日焼け止めは汗で流れるが、帽子はかぶれない。目前の兵士は、鼻から汗をしたたり落としながら、数時間も微動だにせず葬列を警護していた。

 前国王が「国父」と慕われてきたことを再び実感した。その功績をたどる現地のテレビ番組は、貧しい農村を行脚するなどして国民に寄り添ってきた前国王が、日本の天皇陛下(当時は皇太子)から魚養殖の助言を受けていたエピソードも大きく伝えていた。前国王がタイの親日感情に与えた影響は大きい。

 同じ時期、中国で続投が決まった首脳への中国国民の「礼賛」も伝えられた。タイ国民が前国王に向けたそれとは、かなり違ってみえた。(吉村英輝)

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