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【日曜に書く】震災がつないでくれるもの 論説委員・河村直哉

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【日曜に書く】
震災がつないでくれるもの 論説委員・河村直哉

 日本でも、すでに東日本大震災の風化がいわれる。被災地から避難している生徒らへの、心ない「震災いじめ」も、各地で表面化した。

 今年訪ねた被災地沿岸の、広大すぎる空白を思い出す。6年たっても一面に更地や造成地が広がっている。復興には途方もない時間がかかる。

 そんな中で、アメリカから継続的に被災地を訪ねてくれる人たちがいる。なかなかできることではない。

 「支援とか、助けるとかではなくて、東北の人たちをすごく身近に感じるようになった。第二のふるさとみたいに感じている。支援とかを超えて、関係をずっと保って生き続けたい」。コガさんの言葉は、音色の通り優しくて力強い。

 9日のコンサートには、トランペッターの臺(だい)隆裕さん(22)も東京から合流した。

 岩手県大槌町の家は津波で流された。高1だった。家族は幸い無事だったが、身近な人を何人も亡くした。学校の先輩、近所の駄菓子店のおじさん。

 なのに、泣けなかった。ショックで感情がなくなった感じだった、という。

 音の輪が来た。トランペットを習っていた臺さんもステージに立つことになった。音楽は、率直に感情を出せた。

 「臺さんは自分も被災していながら、まわりの人が前に進めるような行動に出ている。尊敬します」(コガさん)

 9日、音の輪と臺さんが一緒に演奏した曲のひとつは-。

 「上を向いて歩こう」

 音の輪のみなさん、臺さん、スタッフのみなさん。お礼申し上げたい気持ちでいっぱいだ。(かわむら なおや)

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