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【宮家邦彦のWorld Watch】石黒一雄か、Kイシグロか…日本人の両親からの感性とそれを昇華させた英国の教育システムとの「日英合作」なのだろう

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【宮家邦彦のWorld Watch】
石黒一雄か、Kイシグロか…日本人の両親からの感性とそれを昇華させた英国の教育システムとの「日英合作」なのだろう

ロンドン市内の自宅でノーベル文学賞受賞の喜びを語るカズオ・イシグロ氏=5日(AP) ロンドン市内の自宅でノーベル文学賞受賞の喜びを語るカズオ・イシグロ氏=5日(AP)

 書評によれば、1960年、5歳で海洋学者の父と渡英、一家でサリー州・ギルドフォードに移住▽現地小学校・グラマースクールを卒業後、北米旅行や作曲や音楽制作を行う▽80年、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進み、小説を書き始める▽卒業後一時は音楽家を目指すが、82年に処女作を発表し、高く評価される。

 この中で筆者が特に気になったのは、石黒氏の人生を決めた60年と82年の出来事だ。

 まずは英語と日本語について。石黒氏がしゃべる英語は「日本語訛(なまり)」が全くない完全な「英」語だ。5歳から英国に住めば当然と思うかもしれないが、突然外国に連れて行かれた子供たちにとっては「当然」ではない。見知らぬ環境での外国語習得が大きな苦痛を伴うことを大人は知らないだけだ。

 世の中には子供を「バイリンガル」に育てようと幼い頃からわが子を英語漬けにする親がいるが、これには十分な注意が必要だ。外国語はただ、しゃべればよいというモノではない。人間は母国語でしか抽象的概念を考えることができないらしい。幼児期に母国語が固まらないまま、やみくもに外国語を教えた結果、抽象思考ができなくなってしまうケースは少なくないという。

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