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【ポトマック通信】米国を勇気づけたトム・ペティの歌声

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【ポトマック通信】
米国を勇気づけたトム・ペティの歌声

トム・ぺティ氏 トム・ぺティ氏

 トム・ペティが急逝した。日本での知名度は今一つだが、米国では1970年代から現在に至るまで数々のヒット曲とアルバムを発表し続けた現役のロック歌手として、世代を超えた人気を博していた。66歳。自分が若い頃から親しんだ有名人たちの訃報に触れ、自らも齢を重ねていることを実感する機会が少しずつ増えてきたように思う。

 ペティを凡百のロック歌手と一線を画する存在に押し上げたのは、2001年の米中枢同時テロの10日後にニューヨークで行われた特別コンサート「英雄たちへの賛辞」での演奏だ。

 ロック界の大物が結集し、米4大テレビで一斉中継されたコンサートでペティは、1989年に発表した「I Won’t Back Down(私は逃げない)」を歌った。

 「私は一歩も引かない。翻意を強いられない。この世界から引きずり倒されたりもしない」

 不屈の闘志と抵抗精神について独特の憂いを含んだ声で静かに歌い上げたペティは、この日のどの演者よりも米国民を奮い立たせ、心の救いを提供した。

 「楽な解決策なんて一つもないけれど、決して逃げたりはしない」

 この先、仕事や私生活で難しい場面に遭遇したときは頭の中でペティの歌声が流れるのだろう。そんな気がしている。(黒瀬悦成)

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