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【正論】「大東亜戦争調査会」に学ぶべきは、歴史の教訓を後世に残そうとする強い意思だ 学習院大学学長・井上寿一

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【正論】
「大東亜戦争調査会」に学ぶべきは、歴史の教訓を後世に残そうとする強い意思だ 学習院大学学長・井上寿一

学習院大学学長・井上寿一氏 学習院大学学長・井上寿一氏

≪原因を追究するプロジェクト≫

 今年は日中戦争の起点となった盧溝橋事件の勃発から80年目にあたる。80年の年月は戦争の相対的な評価には十分な時間の経過である。しかし今日においてもこの戦争をどう評価すべきか、対立が続いている。戦争原因の追究は戦争責任の追及と表裏一体の関係にある。戦争原因の客観的な追究は、戦争責任の主観的な追及に妨げられる。

 別の問題もある。日中戦争は満州事変および日米戦争と相互に連関している。よって前後の歴史的な文脈のなかで評価する必要がある。

 敗戦直後の日本には、満州事変から日米戦争までの戦争の原因を客観的に考える試みがあった。1945(昭和20)年11月、幣原喜重郎内閣は、「敗戦の原因及実相調査」を目的とする政府機関「大東亜戦争調査会」(のちに「戦争調査会」と改称)を設置している。以下ではこの政府機関の活動を通して、戦争の歴史を検証することの意味を考える。

 「大東亜戦争調査会」は、敗戦国の政府が自立的に戦争の原因を追究する国家プロジェクトとして、始まる。40回以上に及ぶ会議における議論、当事者インタビュー、資料収集と現地調査、これらによって「大東亜戦争調査会」は、政治・外交・軍事・経済・思想・文化などの多角的な視点から戦争原因の追究を進める。

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