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【ベルリン物語】リトアニアの「歴史好き」の思い

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【ベルリン物語】
リトアニアの「歴史好き」の思い

 「こんな小さな国も北大西洋条約機構(NATO)の一員だと伝わった。ロシアもこれで攻めてこられない」。独総選挙関連でNATOの駐留部隊の取材のためリトアニアを訪れた際、レストランの若い男性店員にたずねると、自信に満ちた返事が返ってきた。

 部隊は対露抑止として、ポーランドとバルト三国にそれぞれ配置され、リトアニア部隊はドイツが主導する。そのため地元の反応などにも関心があった。

 「もし攻められたら、助けてもらえると思う?」とあえてたずねた。米機関の世論調査では「ロシアとNATO加盟国が軍事衝突すれば、軍事介入すべきか」との設問にドイツでは対象8カ国最高の58%が反対。それが念頭にもあった。

 「オランダやノルウェーが助けてくれる」と若者。両国はリトアニア部隊の参加国だ。「主導するのはドイツだよ?」と突っ込むと「NATOが助ける」。ついぞ「ドイツ」は出ず。東欧の分割を決めた独ソ密約など戦中の記憶が、やはり引っかかるという。

 若者は一方でリトアニアで戦中、多くのユダヤ人を救った杉原千畝の「勇気」をたたえ、こう語る。「歴史が好き。いざというときの対処を教えてくれる」。ドイツが戦後築いた国際的な信頼に疑問を挟むつもりはないが、その言葉に傷の深さを知る気がした。(宮下日出男)

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