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【正論】海道東征は封印されていなかった 日本人の精神洗う北原白秋の「叙事詩」 新保祐司

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【正論】
海道東征は封印されていなかった 日本人の精神洗う北原白秋の「叙事詩」 新保祐司

新保祐司氏(瀧誠四郎撮影) 新保祐司氏(瀧誠四郎撮影)

 福岡県の柳川市を初めて訪ねた。詩人、北原白秋の故郷である。北原白秋作詩・信時潔作曲の交声曲「海道東征」については、これまで度々書いてきたけれども、信時潔を論じることが多くて、作詩をした白秋のことはあまり触れてこなかった。しかし、この名曲を深く味わうためには、やはり白秋という大詩人と白秋が作詩した8章に及ぶ大作について考えなくてはならない。ということで、今回の柳川への旅になった。

 ≪戦後の風潮で冷遇された大作≫

 白秋は死のひと月前に「水郷柳河こそは、我が生れの里である。この水の柳河こそは、我が詩歌の母体である。この水の構図、この地相にして、はじめて我が体は生じ、我が風は成つた」と書いた。

 川縁に白秋の歌碑がいくつもあった。白秋の誕生日の1月25日には毎年、白秋生家裏の「帰去来」の詩碑苑で白秋生誕祭が行われている。白秋は、その「生れの里」で広く知られているのである。

 白秋記念館は、白秋の生誕100年を記念して昭和60年に開館した。そこを訪れるに際して気になっていることが一つあった。それは、白秋の詩「海道東征」の扱いである。というのは、この白秋の最晩年の大作は、戦後の風潮の中では冷遇されてきたからである。

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