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【北京春秋】習近平氏の礼賛番組に映し出された木造漁船に見覚えが…

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【北京春秋】
習近平氏の礼賛番組に映し出された木造漁船に見覚えが…

南シナ海に向かう漁船などが停泊する埠頭=7月7日、中国海南省瓊海市(西見由章撮影) 南シナ海に向かう漁船などが停泊する埠頭=7月7日、中国海南省瓊海市(西見由章撮影)

 中国の習近平国家主席が南シナ海で漁を行う木造漁船内の狭い通路を歩きながら聞いた。「難癖をつけてくる他の国に出くわさなかったか」。漁民が答える。「中国の漁政部門がわれわれを守ってくれます」

 2013年4月、習氏が海南省瓊海(けいかい)市の漁港を視察した際の様子を今年8月末に国営中央テレビが放送した。習指導部の5年間の実績を礼賛する番組「大国外交」の一シーンだ。

 この老朽化した中型漁船には見覚えがあった。船体に「瓊海09045」の文字。休漁期の7月に現地を取材した際、船が停泊する岸壁でマイクロバスから役人風の一行が降りてきた。

 「こうした船で南シナ海へ漁に向かいます。漁民はとても苦労しています」。漁港関係者の男性が「指導者各位」に声をかけ、バスは走り去った。補助事業のための視察だったようだ。

 中国の海洋進出に利用される漁民たち。だが25歳の漁師は「ベトナムの漁船がこちらの海域にくることもあるし、逆もある。お互い魚を獲るためだから通報はしない」と淡々と話した。

 番組は、南シナ海の「主権保護」と尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での「巡視」を、台湾やチベット、ウイグルの独立運動との「闘争」と同列視した。勇ましいナレーションが繰り返す「対話」「平和」の言葉がむなしい。(西見由章)

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