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【正論】韓国への「戦術核」再配備の条件 まず通常兵力による抑止態勢が整備されなければならない 防衛大学校教授・倉田秀也

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【正論】
韓国への「戦術核」再配備の条件 まず通常兵力による抑止態勢が整備されなければならない 防衛大学校教授・倉田秀也

防衛大学校教授・倉田秀也氏 防衛大学校教授・倉田秀也氏

≪北朝鮮が試みる同盟国の寸断≫

 冷戦期、「安定・不安定逆説」と呼ばれる概念があった。米ソ関係が相互核抑止で「安定」すれば、現状打破を試みる側は、核戦争に発展することを以前ほど恐れなくなる。このため、下位レベルでの紛争に介入しやすくなり、寧(むし)ろ「不安定」をもたらすと唱えられた。この古典的概念は、依然、効力を失っていない。

 米朝関係を冷戦期の米ソ関係から安易に類推することは慎まなければならない。とはいえ、2010年の北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」の撃沈、延坪島への砲撃、さらには15年夏の内陸部・漣川での砲撃は、「安定・不安定逆説」を傍証している。

 過日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験と核実験を受け、北朝鮮がICBMを実戦配備すれば、北朝鮮の対南武力行使のハードルはさらに下がる。そのとき、米国は北朝鮮に報復の用意を示すであろうが、瞬間にワシントンを犠牲にする覚悟を固めなければならない。そこで米国が介入を躊躇(ちゅうちょ)すれば、北朝鮮による同盟寸断の試みが奏功したことになる。

 米国との同盟関係が寸断されようとしたとき、同盟国の間で対抗措置が講じられることは珍しくはない。1970年代中盤以降、ソ連が配備した中距離弾道ミサイルSS-20に対して、北大西洋条約機構(NATO)側は「パーシング-II」と巡航ミサイルを配備して対抗する決意を固めた。

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