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【中江有里の直球&曲球】日本の美意識が凝縮された民芸品 職人の苦労にも思いを馳せたい

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【中江有里の直球&曲球】
日本の美意識が凝縮された民芸品 職人の苦労にも思いを馳せたい

 先日、日本橋で「民藝の日本」展を見てきた。

 日本全国の職人による手仕事の品物を「民芸」と呼んだのは宗教哲学者の柳宗悦(むねよし)だ。「民芸」とは民衆的工芸の略称で、生活の中から生まれた実用的な用具類を指す。

 日本のそれぞれの土地の気候や風土から生まれた品物は、材料も違えば、用途も違う。柳はこうした日用品の美を見いだす「民芸運動」を興した一人だ。

 民芸の代表的な品といえば食器類。食卓に欠かせない食器は有田焼、瀬戸焼、砥部(とべ)焼など名をあげれば切りがないが「民芸」で取り上げられる焼き物は、名もない工人が作ったものも多い。どんな料理にも合う、丈夫で使いやすく、なおかつ美しい。そんな理想的な食器が日本にはたくさんある。

 しかし、それらを作る職人の苦労は多い。たとえば冠婚葬祭から日常使いまでされる漆器。塗料となる漆の原料の約98%は中国産。国産漆2%のうちの約7割は、岩手県二戸の浄法寺漆である。

 良質な浄法寺産は食器だけでなく、かつては金閣寺の改修時に、現在は日光東照宮の改修に使われている。修復のために大量の漆が使われると、食器分が足りなくなる。

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