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【産経抄】スイスの高い危機意識を見倣え 9月6日

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【産経抄】
スイスの高い危機意識を見倣え 9月6日

スイスのロイトハルト大統領(AP) スイスのロイトハルト大統領(AP)

 スイスといえば、日本人にとって好感度の高い国である。アルプスの美しい風景に恵まれ、しかも永世中立国、とにかくイメージがいい。両国の間で修好通商条約が結ばれたのは、幕末の1864年である。

 ▼北朝鮮との付き合いも長く、早くも1974年に国交を樹立した。実は両国の関わりは、朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた53年にさかのぼる。スイス政府は非武装の軍人を「中立国監視委員会」に派遣した。

 ▼以来、軍事境界線で監視する任務についてきた。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が10代のころ、スイスに留学していたことはよく知られている。国際社会で孤立している北朝鮮にとって、心許せる数少ない国の一つなのだろう。

 ▼そのスイスのロイトハルト大統領が4日、首都ベルンで記者会見を開き、「対話の時が来ている」と述べた。朝鮮半島の危機の高まりを座視できず、外交交渉の仲介役を務める準備があるという。もっとも、成果は期待できそうにない。正恩氏はどれほど国際社会の批判を浴びようと、米大陸を直接攻撃できる核ミサイルの開発に突き進む覚悟を決めている。

 ▼日本はむしろこの機会に、国民皆兵の国でもあるスイスの危機意識の高さを見習いたい。全人口に対し何%の国民を核シェルターに収容できるか。普及率を見ると、スイスはイスラエルと並んで100%である。日本はわずか0・02%にすぎない。

 ▼それどころか先月末に鳴ったJアラートにさえ、一部の文化人はケチをつけた。ミサイルが北海道上空を通過したぐらいで、危機をあおりすぎる、というのだ。北朝鮮はすでに日本に向けて数百発のミサイルを配備済みである。日本のノーテンキを知ったら、スイス人はあきれかえるだろう。

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