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【東京特派員】「神の鳥」への償い 湯浅博

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【東京特派員】
「神の鳥」への償い 湯浅博

 夏山の季節になると、新聞の1面は、雄大な北アルプスの峰々を巧みなアングルから撮影して、読者を楽しませてくれる。9月に入ると、穂高連峰の涸沢カールはナナカマドが赤く色づいて、一足早く秋が忍び寄ってくる。

 そんな風景に思いをはせながら、個体数が減っている雷鳥たちの行く末を案じた。南北アルプスのあちこちで見られた雷鳥が、いつの間にか「絶滅危惧種」になっていた。

 ハイマツの陰から顔を出す愛らしい幼鳥も、いずれは見られなくなってしまうのだろうか。

 高山地帯で目にするニホンライチョウは、国の特別天然記念物である。5年前に絶滅の危険性が高いレッドリストの「IB」類に引き上げられた。1980年代に3千羽だった生息数が、環境の悪化などによりいまや2千羽以下に減ってしまった。

 かつて、厳冬期の常念岳で見た雷鳥は、山岳信仰にいう「神の鳥」のようだった。雪に溶け込む真っ白な保護色に、神々しい美しさがあった。しかし、夏のそれはハイマツの枝と同じ焦げた茶系の凡庸な姿になる。羽が退化した小型のチャボのようで、さして珍しいとも思わなかった。

 でも、常に居るはずのものが、ある日、姿を消すことになると思うと、とたんにいとおしくなるから勝手なものである。

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