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【産経抄】「花の海」から20年 8月31日

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【産経抄】
「花の海」から20年 8月31日

英国のダイアナ元皇太子妃の息子ウィリアム王子(左)とヘンリー王子=4月(AP) 英国のダイアナ元皇太子妃の息子ウィリアム王子(左)とヘンリー王子=4月(AP)

 ダイアナ元皇太子妃といえば、英国民にとってアイドルのような存在だった。パリで事故死という衝撃的なニュースをロンドンの支局で受け取った。翌日の現地の新聞は、元妃の住まいだったケンジントン宮殿の入り口が「花の海」になっていると報じていた。

 ▼「なんと大げさな」とあきれながら見物にいくと、確かに見渡す限り献花で覆われている。葬儀の当日には、沿道を埋め尽くした100万人を超える人々から、号泣と悲鳴が上がっていた。喜怒哀楽をあまり表に出さないのが英国人気質、との常識が覆された。

 ▼普段抑えつけられている感情が、何かのきっかけで噴出することがあるらしい。昨年6月の国民投票で、欧州連合(EU)離脱派が勝利したのも、同様の社会現象といえる。国民の多くは、離脱が英国経済に深刻な打撃を与える「正論」を理解していた。それでもEU域内から流れ込む移民への悪感情にあらがえなかった。

 ▼事故から20年たった今日、元妃に再び関心が集まっている。元妃の亡くなった年齢36に近づいた息子のウィリアム(35)とヘンリー(32)両王子が、沈黙を破って母の死についてメディアに語り始めた。

 ▼元妃がチャールズ皇太子との結婚生活の破綻について告白する録音テープも公開されて、話題を呼んでいるという。とりわけ、不倫を開き直るような皇太子の言動には、改めて批判の声が上がりそうである。

 ▼「ダイアナに冷たい」「国民と乖離(かいり)している」。自動車事故の後、元妃を「悲劇のプリンセス」に仕立て上げた英マスコミは、猛烈な王室批判を繰り広げた。エリザベス女王は親しみやすさをアピールして、王室の人気回復を図ったものだ。女王にとって、心中穏やかでない一日になりそうである。

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