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【主張】「臍帯血」事件 再生医療の信頼損なうな

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【主張】
「臍帯血」事件 再生医療の信頼損なうな

 再生医療の信頼性を損ない、健全な発展を妨げる事件である。

 へその緒と胎盤に含まれる「臍帯血(さいたいけつ)」を、無届けで患者に投与したとして、再生医療安全性確保法違反の疑いで、医師や民間の臍帯血販売業者が逮捕された。

 「違法」な医療の実態解明にとどまらず、事件の背景となった民間の臍帯血バンクの「無法」状態をただし、再生医療を健全に育てる仕組みを築かなければならない。

 臍帯血は、血液のもとになる造血幹細胞を多く含み、再生医療への幅広い利用が期待される。ただし、現時点で効果が認められているのは、白血病など27の疾患に限られている。

 今回の事件では、有効性や安全性が確かではない大腸がんや美容目的の患者に対し、300万~400万円の高額な治療費で臍帯血の投与が行われた。患者の心理につけ込んだ悪質な営利行為と言わざるを得ない。

 再生医療は感染症や拒絶反応など命にかかわるリスクを伴う。だからこそ、効果と安全性を確かめながら、着実に実用化を進めるための安全性確保法が平成26年に施行された。

 今回の事件で、現行の法制度に大きな「抜け穴」があることが明らかになった。

 治療用の臍帯血を凍結保存する機関には、第三者への提供を目的に産婦から無償提供を受ける「公的バンク」と、新生児と家族の将来の病気に備えて臍帯血を預ける「民間バンク」がある。

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