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【正論】米の「人種差別デモ」 単純な「正邪」対立ではない メディアは公正、客観的に報道せよ 元駐米大使・加藤良三

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【正論】
米の「人種差別デモ」 単純な「正邪」対立ではない メディアは公正、客観的に報道せよ 元駐米大使・加藤良三

加藤良三氏 加藤良三氏

 近年のスマートフォンのカメラ機能の高度化には驚くべきものがあり、専門家さながらの撮影が誰にでもできる。しかし、レンズは大概標準レンズで、特別の広角、まして望遠機能は備えていない。皆、同じポーズ、同じ図柄の撮影を繰り返す。写真は真実の一部を切り取るが、全体像は示さない。

 世の中のことをより良く理解するためには広角、望遠の機能を補強する必要があり、その役割を果たすのがメディアだと思う。しかし、近年はメディアも同じような標準レンズを使って「限界効用」の低い映像を量産している感があり、プロフェッショナルとしての役目を十分果たしていないように感ずる。自ら身を以て「事実」(ファクト)を追求し、読者、視聴者に提供する精神が衰退傾向にあるのではないかと危惧される。

 ≪正邪対立の単純な構図なのか≫

 最近起こったアメリカのバージニア州シャーロッツビルでの衝突事件の報道ぶりを見て、改めてその感を深くする。

 日本のメディアの多くが「トランプ憎し」の感情(ないし、その受け売り)を前提にした報道を繰り返した。今回の騒ぎは「白人至上主義者(悪)対市民グループ(正義)」、すなわち単純な正邪対立だとする構図を描いた。私にはトランプ氏を擁護する義理も動機も全くゼロであるし、トランプ氏の大統領ぶりは異様だと思っている。

 しかし、メディアには、日本に居てはよく分からない騒動の発端、経緯、背景をもうちょっと掘り下げて、公正、客観的に伝える責任があるのではないか。

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