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【別府育郎のスポーツ茶論】9秒台と民族のロマン 桐生や多田に思いを託しても悪くはあるまい

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【別府育郎のスポーツ茶論】
9秒台と民族のロマン 桐生や多田に思いを託しても悪くはあるまい

男子400メートルリレー予選で3走の桐生(右)からバトンを受けスタートするケンブリッジ=ロンドン(共同) 男子400メートルリレー予選で3走の桐生(右)からバトンを受けスタートするケンブリッジ=ロンドン(共同)

 ロンドン世界陸上は、ウサイン・ボルトが100メートルで敗れた大会として、歴史と記憶に残るのだろう。

 ある女性はブログにこう書いた。「ボルトのラストランに、間に合ってよかった。同時期に天才がいたせいで2番ばかり。一度は同じ土俵でガトリンに勝たせたかった。でないと、私の方がめげてしまう」

 誰に気持ちを投影させるかで、レースは見方が変わる。それは経験と哲学に基づくのだろう。女性に何があったかは知らないが。

 檻(おり)をこじ開けるおなじみのパフォーマンスを封印して、ガトリンは宿敵を下した。ボルトは彼を抱きしめ、耳元で「お前はヒーローに値する」とささやいたのだという。ガトリンは、トラックに泣き崩れた。

                □  □

 日本の3選手は準決勝で敗退し、10秒の壁も破れなかった。もっとも向かい風0・6メートルの予選を10秒05で楽に駆け抜けたサニブラウン・ハキームのスケールの大きな走りは、ごく近い将来の9秒台を予感させた。

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