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【産経抄】八月や六日九日十五日 8月15日

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【産経抄】
八月や六日九日十五日 8月15日

 俳句は類似句との闘い、といわれる。わずか17文字の短詩ゆえに、そっくりの作品が先行している可能性は常にある。千葉市の元法務省職員、小林良作さんも同じ問題に直面した。「八月の六日九日十五日」。平成26年に所属する俳句結社に投稿した作品である。

 ▼昭和19年生まれの小林さんには、直接の戦争体験はない。ただ父親は、戦火により事業を失った。両親の苦しむ姿を、日本人にとって忘れることのできない日付に重ねて詠んだものだ。ところが、冒頭を「八月や」とする句が、すでに多くの人に詠まれている事実を知らされた。

 ▼最初の作者は誰だろう。調べを進めると、広島県尾道市の医師、故諫見(いさみ)勝則さんに行き着いた。長崎県諫早市出身の諫見さんは、海軍兵学校時代に江田島から広島の原爆のきのこ雲を目撃している。戦後、長崎医科大学を出て、広島、長崎の被爆者の診察も行った。その諫見さんが平成4年の夏、診察室のカレンダーを見ながら詠んだ作品が最初、との結論を得た。

 ▼「俳句探偵」のリポートは『八月や六日九日十五日』(「鴻」発行所出版局)として昨年出版された。小林さんは新たな情報を得て、調査を続行中である。類似句は今後も多くの人に詠まれていくだろう。

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