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【一服どうぞ】おもてなしは助け合い 裏千家前家元・千玄室

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【一服どうぞ】
おもてなしは助け合い 裏千家前家元・千玄室

 外国の温泉は、温度調整された大きなプールのような中に、水着を着て入らねばならない。それに引き換え、湧き出る自然の温泉に裸で入ることができるわが国では、心身ともに癒やされるのは当然である。

 記紀の中に大国主(おおくにぬし)神が温泉を使って病を癒やした話なども見えて、温泉と医の関係は古代から既に芽生えていた。大国主神は火山神といってよいだろう。『釈日本紀』第14にある『伊予国風土記』によれば、湯の郡(現在の道後温泉)において、速見の湯を使って大国主神が宿奈毘古奈(すくなびこな)神を蘇生させるため湯浴みをさせたとある。この2神が湯浴みの術をもって箱根の元湯を開いたと伝えられており、温泉は医と薬の二方から人々の病を癒やすものとなった。

 仏教では薬師如来がそれにあてられ、大国主神や宿奈毘古奈神は薬師如来と一体化されたのである。このように温泉は神が民人のために作られたとされ、古来より身体を休め悪いところを治すための療法の場であった。今ではどこの温泉でも薬用・医用が示されているし、その効用は高く評価されている。

 最近は外国の方も温泉旅行のために来訪されるようになり、温泉街もにぎわいを取り戻している。以前は温泉のある駅に着くと法被を着た番頭さんたちが幟(のぼり)を持ってお客を待っている風景があちこちで見られた。今は以前ほどではないものの客は予約の湯宿に案内され、女中さんの居並ぶ出迎えを受ける。このようなサービスに外国からの観光客は驚き、感激するようだ。

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