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【一筆多論】格差招いた「貿易悪玉論」は本当か? 長谷川秀行

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【一筆多論】
格差招いた「貿易悪玉論」は本当か? 長谷川秀行

 多くの公約を実現できず政権運営で迷走するトランプ米大統領が、就任から半年を経た今も相変わらず固執していることがある。米国は貿易で一方的に損をしている、という誤解に満ちた主張である。

 貿易赤字をことさら問題視し、原因は相手国の不公正貿易にあると独善的に断じる姿勢を改める気配はない。国境をまたいで生産網を築いている内外企業の活動や、輸入拡大で経済全体が豊かになる側面には当然ながら目もくれない。

 トランプ氏は7月の安倍晋三首相との会談でも対日貿易赤字の是正が必要との認識を示した。自国の都合を強引に押しつけないか懸念を覚える。米国との経済対話で日本が向き合うことになる難しい問題だ。

 トランプ氏の言い分は単純である。中国を筆頭とする各国が米国に輸出攻勢をかけた結果、多くの米国企業が倒産し、雇用を奪われた。だから自国産業を保護するのは正当と考える。

 海外との厳しい競争にさらされる企業や労働者にとって実に分かりやすい訴えだ。貿易や海外直接投資の拡大といったグローバル化が国内雇用を悪化させ、格差拡大を招いたという不信感は、米国のみならず世界にも広がりつつある。いわば「貿易悪玉論」だ。

 だが、本当にそうなのだろうか。少なくとも、世界的な格差拡大の主因は、グローバル化よりも、技術進歩の結果だというのが、国際通貨基金(IMF)などが行った格差要因の分析で示された通説である。

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