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【国語逍遥】(87)清湖口敏 「森友学園」をきっかけに汚いイメージが広がった「忖度」の意味 恣意的に歪める「印象操作」をメディアはしていないか?

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【国語逍遥】
(87)清湖口敏 「森友学園」をきっかけに汚いイメージが広がった「忖度」の意味 恣意的に歪める「印象操作」をメディアはしていないか?

 そのパーレンをコラム子が外した。結果的に忖度の語義は言うに及ばず、引用元の著作の内容までもねじ曲げてしまったのではないか。「たかがパーレン」で済むような話ではない。

 ちなみに文化勲章を受章した漢字学の泰斗、故・白川静氏も「忖度」を「おしはかる、推量する」と説明したうえで先の一節をこう訳している。「人の思う心は、すぐ推測してわかります」(平凡社・東洋文庫『詩経雅頌1』)

 さらに-。詩経の「他人有心 予忖度之」は実は、中国の思想家、孟子が諸侯や弟子と交わした問答などを記した『孟子』(梁恵王章句)にも引用されている。斉の宣王に孟子が「人民は誤解しているが、王には惻隠(そくいん)の情がある」と説く。すると王は「詩経には『他人有心 予忖度之』とあるが、これはあなたのことを言ったものだ」「あなたの説明によって私は自らの心にひしひしと思い当たる」と喜んだ。

 もし詩経にいう「忖度」が「悪いたくらみを見抜く」ことだったら、宣王は喜ぶどころか、自らの心を忖度した孟子をきっと責め立てたに違いない。

 本来の意味や語感が正にも邪にも、プラスにもマイナスにも染まっていない中立中性の「忖度」に、マスコミが自らの主義主張を引き立たせる目的で勝手な色づけをする。これをこそ「印象操作」というべきではなかろうか。

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