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【正論】「植民地は放棄せよ」「外交は損得勘定で」…ポピュリズムに抗した石橋湛山 大阪大学名誉教授・猪木武徳

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【正論】
「植民地は放棄せよ」「外交は損得勘定で」…ポピュリズムに抗した石橋湛山 大阪大学名誉教授・猪木武徳

猪木武徳大阪大学名誉教授 猪木武徳大阪大学名誉教授

 近年「ポピュリズム」が話題に上ることが多い。だがデモクラシーのもとで単純な俗説が国民感情を煽(あお)り、政治から深慮と知恵を奪い去っていく現象は、特に最近始まったわけではない。デモクラシーは、古代ギリシャの昔からそうしたリスクを含み持っていた。

 ≪言論の自由の「気概」を実践≫

 ただ工業化が進展した近代経済社会では、ポピュリズムを燃え上がらせる要因が働きやすくなった。経済状況がすべての国民の最大関心事となったからだ。

 そもそもポピュリストという言葉が米国で生まれたのは、1890年代に米国経済を襲った小麦や綿花を中心とした農業不況の時期であった。この大不況に既成政党が抜本的な政策を打ち出せなかったことが契機となり、「人民党」が大躍進を果たしたのだ。

 1930年代の大不況期にも、イタリアやドイツで既成支配層を批判する全体主義政党が勢いを得たことは周知の通りである。

 近年云々(うんぬん)されるポピュリズムも、その力があらわになったのは、リーマン・ショック以降の不況期であった。つまりポピュリズムは、経済不況と既成政党の無力さが合わさると、たちまち燎原の火のごとく広がるのだ。

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