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【国語逍遥】(86)清湖口敏 一旦緩急あれば 「文法の誤り」とは何ごとぞ

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【国語逍遥】
(86)清湖口敏 一旦緩急あれば 「文法の誤り」とは何ごとぞ

湯島天神の社殿。境内には、お蔦と主税の悲恋物語『婦系図』を著した泉鏡花の筆塚(下)もある=東京都文京区(筆者撮影) 湯島天神の社殿。境内には、お蔦と主税の悲恋物語『婦系図』を著した泉鏡花の筆塚(下)もある=東京都文京区(筆者撮影)

 しかし武蔵野大教授の貝塚茂樹さんは「教育勅語の歴史を直視せず、徒(いたずら)にこれを全否定することがさも民主的であるかのように振る舞うのは歴史に対する欺瞞(ぎまん)である。こうした態度が逆に、教育勅語を『神懸り的なもの』として扱うことになることに気づくべきだ」と叱正する(4月26日付本紙『解答乱麻』)。

 批判は、勅語の中の「一旦(いったん)緩急あれば義勇公に奉じ…」の「あれば」は文法的に誤っているといった方向にまで及んだので、さすがに小欄も取り上げないわけにはいかなくなった。

 『週刊文春』(3月30日号)ではジャーナリストの池上彰さんが、文法の間違いがあるとの指摘も紹介しておくと断った上で、「もしも国家に危機があるとするならば」の意では〈「あり」の未然形+ば〉の「あらば」が当時の文法では正しく、「一旦緩急あれば」では「危機は必ず来るから、そのときには」の意になってしまい、誤用である-と書いていた。

 反論したのが大阪大名誉教授の加地伸行さんである。月刊誌『WiLL』(6月号)で、まこと懇切丁寧に「あれば」の正当性を主張した。全文を引けないのは残念だが、概略を以下に示したい。

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