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【産経抄】「幻の名人」将棋のルーツをさぐる 6月28日

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【産経抄】
「幻の名人」将棋のルーツをさぐる 6月28日

 数ある将棋のタイトルのなかでも、名人は棋士にとって特別の輝きを持っている。中原誠名人に33歳の大内延介(のぶゆき)八段が挑戦した昭和50年の七番勝負は、歴史に残る激闘となった。

 ▼3勝3敗で迎えた最終局、1日目は大内八段が圧倒的に有利に戦いを進めていた。本人はもう勝ったつもりになって、記者会見で着る服まで決めていた。ところが翌日、とんでもない悪手が出る。

 ▼大内さんによれば「頭の中にまったくない手」だった。「その瞬間、私は背中に数貫目の氷柱を背負った心地がした」(『将棋の来た道』)。結局、この将棋は持(じ)将棋(引き分け)になり、8局目を制したのは中原名人だった。大内さんが、「幻の名人」と呼ばれた所以(ゆえん)である。

 ▼野球少年だった大内さんは、小学4年で出合って以来、将棋に人生を懸けてきた。その不可思議な魔力を改めて痛感させられたという。「将棋とは一体何なのだろう」。ルーツを探る旅がここから始まった。もともと登山やスキー、ゴルフが趣味で、体力には自信があった。インドや中国、アジア諸国をめぐりながら、その国の将棋を現地の人と指してみた。

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