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【大阪特派員】なにわ美人…“画壇の悪魔派”と呼ばれた北野恒富 山上直子 

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【大阪特派員】
なにわ美人…“画壇の悪魔派”と呼ばれた北野恒富 山上直子 

 恒富が淀殿の少女時代を描いた「茶々殿」(大正10年)も、松子の顔を参考に描いたとされる話題作だ。

 また、黒と白の色違いの着物姿の美しい姉妹が描かれた浪速情緒あふれる「いとさんこいさん」(昭和11年)は、谷崎の代表作「細雪」の世界観にも共通するとされる名作である。姉は床机に座って控えめにほほえみ、妹はげたを脱ぎ捨てて寝そべっている。小説の四姉妹をほうふつとさせ、大阪の良家の子女の品とおおらかさ、進歩性までが表現されて、まさに伝統とモダンが共存する「大阪モダニズム」の世界を感じることができるだろう。

 ところが-。時代は先の大戦へと向かう。

 「美人画など見向きもされない時代で、ぽつんと1人で座っていたのを覚えています。さみしそうでしたね」と悦子さん。戦後の復興を見ることなく、昭和22年に没。「本当に残念。祖父なら、戦後の女性たちをどう描いたでしょうか」

 戦後、恒富が愛した大阪は消えてしまった。ただ絵の中に残るのみである。(やまがみ なおこ)

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