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【大阪特派員】なにわ美人…“画壇の悪魔派”と呼ばれた北野恒富 山上直子 

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【大阪特派員】
なにわ美人…“画壇の悪魔派”と呼ばれた北野恒富 山上直子 

 ふっくらとした印象の美女が、モダンな柄の着物の片肌を脱いで乳房を見せているという大胆な作品だ。官能的なのに下品にならず、女性が見ても美しいと思わせるさじ加減がみごとだった。当時、駅などで掲示されたその日に全部持ち去られてしまったという、伝説のポスターである。

 その森村さんが、凛(りん)と張り詰めた緊張感がある松園の絵に対し、恒富作品は「幸せのお相伴にあずかっているかのような気分にさせられる絵」と評している。言い得て妙で、そこに「かつての大阪」の美意識があるというのだ。大阪人ならではの勘所だろう。

 恒富作品のはんなりとした風情、やわらかい雰囲気、上品な艶っぽさは、当時の大阪ならではの美だ。なぜなら、文楽や歌舞伎といった上方文化に活況を呈した商都の経済、海外の異文化などが混ざり合い、開放的な気質も相まって、優れた文化都市となっていたからだ。だから恒富は大阪に居続けたのではないか。

 実は恒富を語るとき、避けて通れないのが文豪・谷崎潤一郎との交友である。友人であり、恒富の長男・以悦(悦子さんの父)の仲人をした富豪の夫人が、後に谷崎の妻となる松子であった。谷崎作品のミューズといわれる女性である。

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