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【産経抄】日本版GPS衛星が描く地図の未来は 6月11日

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【産経抄】
日本版GPS衛星が描く地図の未来は 6月11日

 水上勉の『飢餓海峡』は推理小説だが、風景描写にも筆致の妙味がある。「ヒバ、杉、黒松などのいり混じった林は、上の方へゆくほどに黒々と…」「樹肌にからみついた蔦(つた)や藤の葉だけが、茶褐色に色づきはじめていた」と筆が行き届いている。

 ▼青森・下北半島の点描である。丹念な現地踏査の産物とばかり思っていた。違うらしい。「五万分の一の地図で書きました」と、ある対談で種を明かしていた。下北には行ったが、山奥までは行っていない。杉や松などの立ち木は、みんな地図に書かれている-と。

 ▼等高線を見るだけで、山の形状や眺望が目に浮かぶ。そんな地図読みの手だれも多いと聞く。文才も豊かな水上は、右脳と左脳を存分に使いこなしたに違いない。等高線を習った子供時分、地図とわが指を見比べた記憶しかない小欄には、ピンと来ない能力である。

 ▼地図の未来はどうなるだろう。日本版GPS(衛星利用測位システム)の本格運用が近い。先日は、測位用衛星の2号機が打ち上げられた。6年後には7基体制となり、位置情報の誤差はわずか6センチになるという。車の自動運転など暮らしやすさにつながればいい。

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