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【日曜に書く】論説委員・山上直子 煎茶と漱石と楠木正成

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【日曜に書く】
論説委員・山上直子 煎茶と漱石と楠木正成

 葵祭の週末、五月晴れの京都・下鴨神社本殿近くに立っていると、南に広がる鎮守の「糺(ただす)の森」から一陣の風が吹いた。

 清風(せいふう)故人(こじん)来(きた)る

 涼しい風が吹くのは旧友の訪れのようにすがすがしい-。本来は秋風をいうのだろうが、5月にしては暑い日に一瞬、通り抜けた涼風に“故人”の祝意を感じて心が和んだ。

 この日は、京都最古の煎茶(せんちゃ)道の流派、小川流による献茶祭が営まれた。葵祭の締めくくりとして、その無事を神に奉告する恒例行事。今年は併せて、昨年亡くなった父(6代)の跡を継いだ7代家元小川後楽さんの継承奉告もあった。

 ◆文人墨客の風雅

 「へえ、煎茶道というのもあるのか」と思ったのが最初である。抹茶の「茶道」は知っていたが、煎茶の手前を見たのは初めてだった。

 余談だが、茶道では濃茶は「練る」、薄茶は「点(た)てる」、一連の作法を「点前(てまえ)」といい、喫する茶は「一服」だ。一方、流派にもよるだろうが小川流では煎茶は「煎じる」、所作は「手前」と書き、茶は「一煎(いっせん)」という。似て非なる茶の道の、そんな違いもおもしろい。

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