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【松浦肇の緯度経度】中身は大統領弾劾の市民運動?

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【松浦肇の緯度経度】
中身は大統領弾劾の市民運動?

 市民の熱気を感じ取ったのか、ニューヨークには各地から活動家が集まるようになった。今のところ、扇動というよりは、自身の体験談を語ったり、ノウハウを伝授するだけだが、会合は毎回満員御礼となる。

 公民権運動の生き字引であるルビー・セールズさんもその一人。足をけがして車椅子に乗っているのに、南部アラバマ州からわざわざやってきた。目の前で仲間が人種差別主義者に射殺された過去がある。銃社会における市民運動が危険と背中合わせであることを強調する。

 ワシントンから訪問していたマイケル・デービス氏は、2014年に選挙制度の民主化を求めて香港で起きた大規模デモ「雨傘運動」の立役者。米国人の学生らに「(過度の取り締まりといった)政府側のミスを待て」と指導していた。

 弁護士の間では、トランプ氏の罷免を求める動きが出てきている。「三権分立の研究」というのが彼らの開く勉強会の表向きの看板。中身は、れっきとした「反トランプ運動」だ。

 米連邦捜査局(FBI)長官の更迭をめぐって、足元の政治は混乱しているが、同運動は年初から、米議会が大統領を弾劾できる憲法規定に注目してきた。

 トランプ氏の過去の訴訟事件を調査して偽証や利益相反による「報酬条項」違反などの可能性を探しているのだ。証拠が集まれば訴訟提起や議会への情報提供をもくろんでいる。

 ニューヨークはリベラルな土地柄で、市民の大半が昨年の大統領選で民主党のクリントン候補に投票した。加えて、トランプ氏の出身地で知己が多いため、同氏に関する情報が集まりやすく、同じ「アンチ」でも「近親憎悪」のような雰囲気に包まれている。

 「反トランプ運動」は収まる気配がないのだ。(ニューヨーク 松浦肇)

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