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【正論】将来見据え、日本にふさわしい皇室のあり方の議論を 学習院大学学長・井上寿一

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【正論】
将来見据え、日本にふさわしい皇室のあり方の議論を 学習院大学学長・井上寿一

学習院大学学長の井上寿一氏 学習院大学学長の井上寿一氏

 4月21日に「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(以下、有識者会議と略)が最終報告をまとめた。国会では一代限りの特例法による譲位をめぐって議論が始まる。ここでは主要な論点の確認と議論の方向を考える。

 ≪未解決のまま残された課題≫

 有識者会議が最重要視したのは、長寿社会における安定的な皇位継承の問題だったと考えられる。有識者会議は摂政の設置による終身在位制の存続に対して、次のような疑問を呈している。「長寿社会を迎えた我が国において、例えば天皇が80歳のときに摂政を設置した場合、天皇が100歳となり、摂政である皇太子が70代になるというケースも想定される。このような長期間にわたり摂政を設置することや、摂政自身がかなりの高齢となられることは、象徴天皇の制度のあり方としてふさわしいのか」(1月23日「今後の検討に向けた論点の整理」)

 議論は譲位へ向かう。同時に象徴や権威の二重性の回避が論点となる。有識者会議の最終報告は、譲位後の天皇の称号として「上皇」を提示する。

 しかし称号だけでは問題は解決しない。憲法が制限列記する国事行為のすべては新天皇に引き継がれる。他方で「上皇」は公的行為まで譲るのではない。国民は国事行為と公的行為の違いを見分けて区別するとはかぎらない。そうだとすれば象徴や権威の二重性の問題は未解決のまま残る。

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