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【オリンピズム】1972札幌(13)氷点下8度の札幌五輪開会式で開会宣言された天皇陛下

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【オリンピズム】
1972札幌(13)氷点下8度の札幌五輪開会式で開会宣言された天皇陛下

立ち上がって開会宣言する昭和天皇=昭和47年2月3日、真駒内屋外競技場  立ち上がって開会宣言する昭和天皇=昭和47年2月3日、真駒内屋外競技場 

 札幌冬季五輪で心に残るシーンを尋ねると、多くの人から「日の丸飛行隊」や「ジャネット・リン」という答えが返ってくる。ところが今年2月、札幌アジア大会の期間中、札幌市内で思いがけない回答に遭遇した。

 70代のタクシー運転手の男性はこう言った。「日の丸飛行隊よりも、ジャネット・リンよりも、開会式の天皇陛下のお姿ですね。寒さの中、言葉がつっかえたりされて、ハラハラしたことを覚えていますよ」

 当時のサンケイ新聞は、防寒服にサングラス姿の昭和天皇が「メモなしで開会宣言」されたことを伝えている。

 〈この日、陛下は深々とした防寒服に紫外線よけのサングラス。やはり氷点下八度の外気がこたえるのか、ときどきえりをかきたてるようにされた。

 陛下はゆっくり立ち上がられマイクに向かわれた。深く息を吸い込み、口をあけるが、声は出ない。二度、三度、うしろの外人客が、ちょっと心配そうな表情になった〉

 五輪では“開催国”の国家元首が開会を宣言する。日本国憲法は「元首」を定めていないが、昭和48年6月13日の参院本会議で時の首相、田中角栄が「憲法上明文の根拠はないが、象徴たる地位にあられる天皇が公的行為を行うことは当然」と答弁している。五輪の開会宣言は「公的行為」の一つと見なされ、1998(平成10)年長野五輪でも踏襲された。

 〈いつものややカン高い、力強いお声が出た。「わたくしは…」といったん切って「ここに第十一回」と特徴のある抑揚が続く。

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