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【正論】ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

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【正論】
ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

 われわれが直面する問題は、この技術を73年に考え出された「遺伝子組み換え技術」と比べてみるとはっきりする。遺伝子組み換え技術の場合は、どこにDNAが組み込まれるかは不明であり、成功率も低く、未知の危険があると考えられて、今から見ると不必要な規制が行われてきた。ところがゲノム編集は、分かっているDNA配列の箇所だけを切断するのだから、技術そのものの不正確さからくる副作用を除けば、未知の危険性はまずない。

 つまり、今はまだ基礎研究の段階だが、この技術を、どのように、どこまで使ってよいのか、という問題なのだ。これに答えを出すために社会は、自然や生命や人体に関する価値観を明確にする必要がでてきている。

≪急がれるアセスメント作業≫

 熱い議論が始まっているのが遺伝病研究などの医学的応用であり、なかでもヒトの受精卵や生殖細胞にこの技術を用いることの是非である。この問題を議論するとどうしても、人間をDNAレベルで設計する「デザイナー・ベビー」にまで話が飛んでしまいがちである。

 一方、すでに2年前に中国でヒトの受精卵を用いた実験が行われ、生命倫理の論争に火がついた。実際に行われたのは、1つの卵子に2つの精子が入って正常には発生しないヒトの受精卵を用いて、ある遺伝子を修正するためにゲノム編集技術を使用する実験であった。結果は、効果は確認されたが効率が悪く副作用もあった。

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