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【正論】「北朝鮮」カードと中国が最も嫌悪する「一つの中国」カードを駆使…「狡知」際立つトランプ対中外交 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

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【正論】
「北朝鮮」カードと中国が最も嫌悪する「一つの中国」カードを駆使…「狡知」際立つトランプ対中外交 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

夕食会で握手を交わすトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=6日、米フロリダ州パームビーチ(AP) 夕食会で握手を交わすトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=6日、米フロリダ州パームビーチ(AP)

 さらに今年1月13日、トランプ氏は米紙とのインタビューで、中国と台湾がともに一つの中国に属するという原則に自分は縛られない、米中問題のすべてが交渉の対象だという見解を明らかにした。1979年の米中国交正常化以来、米国首脳が一つの中国原則の見直しを示唆したのは初めてのことである。

 台湾問題を国家主権に関わる「核心的利益」だと主張してきた中国が、この原則は米中関係の政治的基礎であり、交渉は不可能だと猛反発したのだが、トランプ氏にとってはこれも織り込み済みのものだったはずである。

 その後、トランプ氏は習氏との電話会談で、一つの中国原則を尊重すると応じた。トランプ氏の譲歩ではあろうが、中国が他国から言及されることを最も嫌悪するこの問題を、トランプ氏が重要な政治的カードとして隠し持っていることを中国側に知らしめたのは、氏の外交的「狡知(こうち)」であろう。

 中国は今後「米中新型大国関係」などという“夜郎自大”の表現を用いることには自制的たらざるをえまい。党大会を今秋に控えて国内権力闘争に鎬(しのぎ)を削り、外交に割くエネルギーが薄れているこの時期に一つの中国原則を持ち出したことも、同氏の外交的取引の巧妙さを物語っていよう。

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