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【ん!?】 写真は「見る」ものではなくて「読む」もの

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【ん!?】
 写真は「見る」ものではなくて「読む」もの

 写真は「見る」ものではなくて「読む」もの。写真集『西から雪はやって来る』(宝島社)を刊行した俳優の東出昌大さんのインタビューで、そんな言葉を聞いた。東出さんの冒険的な旅を追ったドキュメンタリー写真集で、ワナにかかったイノシシをさばいたり、タコ漁に挑んだり、かなり面白いので取材させてもらったが、出てくる話もじつに興味深かった。

 写真を読む、ってどういうことなのか。東出さんは、以前に会った写真家がそう話していたのを忘れずに覚えていたそうだが、その説明に感心した。たとえば美術館で絵と向き合うときに、構図や色彩を見るだけでなくて、作品を読もうとするでしょう、と。なるほど、わかりやすい。これ、私もこれから使わせていただきたい。

 抽象画や前衛的な美術を前にしたら、どうしてこうなっているのか、どんな意味なのか、みんな自然に頭を働かせるはず。そこに描かれたかたちや色彩から得られる刺激より、むしろ作家の狙いや作品の意味をあれこれ想像する楽しさのほうが大きかったりする。

 きっと写真だって同じで。ある瞬間を写し止めて複製するという媒体特性もあって、写っているものをなんとなく見たままに受け止めてしまう。でも写真家がさまざまな意図をこめて制作している作品は、読めば読むほど深みと広がりを増す。文章で言うところの「行間」に近いかも。田附勝さんが撮影を担当したこの写真集でも、東出さんの表情が写っていないカットが何枚も登場するが、心の内を想像させるのは、むしろそういう写真だったりする。

 写真集を企画したデザイナーの町口覚さんと東出さんとの対話を産経ニュースに掲載しているので、興味のある方はぜひどうぞ。(篠原知存)

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