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【正論】露は米のシリア空爆に激怒しているのか? 本音はシリアから手を引きたい?ロシア 北海道大学名誉教授・木村汎

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【正論】
露は米のシリア空爆に激怒しているのか? 本音はシリアから手を引きたい?ロシア 北海道大学名誉教授・木村汎

北海道大学の木村汎名誉教授 北海道大学の木村汎名誉教授

 ≪「二正面作戦」は望ましくない≫

 このことから、次のように大胆な推測も成り立つだろう。シリア内戦への関与の是非や方法をめぐって、ロシア指導部には2つの考え方が存在し、現在そのどちらが優勢とは必ずしも言い切れないのではないか。

 1つ目は、シリア内戦からそろそろ手を引くべき潮時が到来しているとの見方だ。プーチン大統領は、原油安、ルーブル安、西側制裁といった経済的“三重苦”からロシア国民の目をそらす狙いで、シリア空爆を始めた。ところが、「勝利を導く小さな戦争」にあまり長くかかずらわっていると、泥沼に陥る危険がある。

 シリアへの軍事介入によって、ロシアは、1日当たり約100万ドル以上の出費を余儀なくされている。ウクライナ東部とシリアの「二正面作戦」の続行は望ましくない。このような判断に基づき、ロシアは「出口戦略」を模索し始めた。実際、イランやトルコと協議して「アスタナ和平案」をまとめ、自らも空母「アドミラル・クズネツォフ」などロシア艦隊に撤収を命じた。

 しかし他方、アサド大統領の思惑は異なる。同大統領は、シリア第2の都市アレッポの奪還だけでは満足できず、この機に反体制諸勢力の息の根を止め、己の安泰を完全なものにしたいとの誘惑に駆られているのではないか。この推測が当てはまる場合、アサド大統領がロシア側から事前の承諾を得ることなく、独断でサリン攻撃を敢行したシナリオすら排除できなくなる。だとするならば、プーチン大統領はアサド大統領によってコケにされたことにも等しく、13年に仲介者役を買って出た面目は丸つぶれとなろう。

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