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【産経抄】世界の不気味な「雷鳴」のせいか、春の桜が一層美しい 4月9日

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【産経抄】
世界の不気味な「雷鳴」のせいか、春の桜が一層美しい 4月9日

 この季節の空模様は移ろいやすい。「春に三日の晴れなし」という。花日和、花曇り、花冷え。桜にちなんだ天気の言葉が多い。列島の空を寒気と暖気が往来し、泣いた空が笑ってはまた崩れる。季節の事情が風趣に富む言葉を育てたのだろう。

 ▼つい先日、雨雲が切れたのを幸いと、都心を離れて郊外の桜並木を歩いた。つかの間訪れた晴天に、日差しを浴びた花は輪郭が際立ち、花びらでにぎわう枝に切り取られた空の青は深かった。春先に冷え込んだせいか、ようやく綻(ほころ)びようかという花弁の結び目も多い。

 ▼冬を抜けた列島は地上も上空も表情が穏やかになる。季節を少し戻せば〈春雷は空にあそびて地に降りず〉(福田甲子雄)の句がある。春の雷は「虫出しの雷」とも呼ばれ、地上を打つことなく雲の上でゴロゴロと鳴る。命の目覚めを促す雷様の温顔が目に浮かぶ。

 ▼ここ数日、新聞は各地の不気味な雷鳴を伝えてきた。自爆テロ、弾道ミサイルの発射、化学兵器とみられる武器の使用…。殺気立つ世界の動きに触れ過ぎたせいだろう。危うい均衡を保ちながら揺れる花がなおのこと美しく見えた。

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