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【産経抄】「日本で働きたい」…グエン・ドクさんはそう申し出た 3月30日

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【産経抄】
「日本で働きたい」…グエン・ドクさんはそう申し出た 3月30日

グエン・ドクさん(右から3人目)。左は天皇陛下 =3月2日、ハノイ グエン・ドクさん(右から3人目)。左は天皇陛下 =3月2日、ハノイ

 医師、看護師ら約70人は、12時間にわたって小さな体に向かい合っていた。ベトナム・ホーチミン市の病院で1988年10月に行われた、「ベトちゃんドクちゃん」の分離手術である。2人は腰から下を共有する結合双生児として生まれた。ベトナム戦争中に米軍がまいた枯れ葉剤の影響とみられる。

 ▼日本側から、器材や薬品が提供された手術は、奇跡的に成功する。兄のベトちゃんは術後、寝たきりの状態が続くが、弟のドクちゃんは順調に回復した。失われた左足の代わりに、日本から義足が贈られた。その後何度も来日するドクちゃんの近況は、現地からも頻繁に伝えられた。

 ▼家族とともに病院に引き取られたドク君は、兄の介護を手伝いながら、学校に通う。コンピューターとサッカーに夢中の少年は、やがて病院の職員となり、ボランティア活動で知り合った女性と結婚する。

 ▼兄は26歳で亡くなった。最期をみとったドクさんから連絡を受けた日本の知人は、電話口で号泣を聞いた。2年後、障害が遺伝する可能性を医師から示されながら、子供を持つことを選ぶ。兄によって生かされた自分の子孫を、どうしても残したかったからだろう。授かったのはなんと、自分たちと同じ双子だった。

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