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【日本の未来を考える】デフレ脱却、要素そろった トランプ政権の景気刺激策は追い風 学習院大教授・伊藤元重

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【日本の未来を考える】
デフレ脱却、要素そろった トランプ政権の景気刺激策は追い風 学習院大教授・伊藤元重

伊藤元重・学習院大教授 伊藤元重・学習院大教授

 トランプ政権になって日本経済はどのような影響を受けるのだろうか。さまざまな見方が提起されてきた。トランプ政権というと、どうしてもその保護主義的な主張が注目される。法人税の改革によって国境で20%前後の税金が課されることになると、日本やメキシコなどから多くの自動車を輸出している日本の自動車メーカーは深刻な影響を受けることになる。こうした懸念を反映してか、自動車メーカーの株価は、低めの水準で推移しているようである。本当に海外からの輸出に国境で20%程度の税金をかけるのか、疑わしい面もある。WTO(世界貿易機関)のルールに反するものであるからだ。ただ、1971年のニクソンショックのとき、為替レート調整のために、輸入に一律に税をかけた米国のことであるので、そうした一方的な政策には用心する必要がある。

 保護主義的な政策には警戒が必要ではあるが、日本経済全体への影響の大きさということで言えば、トランプ政権のマクロ経済政策の方がその影響ははるかに大きい。マクロ経済に大きな影響を及ぼしそうなトランプ政権の政策を列挙すれば、エネルギーの輸出とそのための生産拡大、金融の規制緩和、大胆な法人税減税、インフラや防衛などでの大幅な歳出拡大などである。いずれも景気刺激効果を持つ。完全雇用に近い状態にある米国経済でこうした大規模な景気刺激策を講ずれば、米国の物価や賃金は上昇し、長期金利も上昇するはずである。すでにそうした動きが非常に顕著になっている。インフレ的な展開が予想されれば、中央銀行も政策金利を引き上げていかざるをえない。もちろん、トランプ政権がこれらの景気刺激策をどこまで踏み込んで行うことができるのかは不透明だ。ただ、市場はすでにこうした動きを織り込み始めている。

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