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【佐藤優の世界裏舞台】南スーダン撤退の裏に高度な情報活動 宗教絡む情勢悪化を分析か

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【佐藤優の世界裏舞台】
南スーダン撤退の裏に高度な情報活動 宗教絡む情勢悪化を分析か

 ところで、日本ではあまり注目されていないが、南スーダン情勢の悪化にともない、カトリック教会の総本山であるローマ教皇庁(法王庁)が人道的介入の動きを示している。2月26日にフランシスコ教皇が、地元のキリスト教会からの要請に応えて南スーダン訪問を検討していると発表した。この訪問によって内戦に宗教対立の要素が加わり、泥沼化するリスクがある。

 南スーダンでは、アニミズムの伝統宗教(大地の神クウォス、クモの姿をしたトゥールを信仰する)とキリスト教を信仰するアフリカ在来の諸民族が多数を占めている。これに対して、スーダン(北スーダン)では、イスラム教を信仰するアラブ人が多数だ。

 南スーダンには大量の石油が埋蔵されている。2011年に米国が主導してスーダンから南スーダンを分離、独立させた際には、宗教上の差異が北スーダンと南スーダンを分断する基準になった。

 外交において、純粋な人道支援は存在しない。ローマ教皇庁にもこの不文律が適用される。ローマ教皇が南スーダンを訪問し、人道支援を強化する方針を示すと、同国での非キリスト教勢力は、西側が国内のキリスト教勢力に加勢していると考え、紛争に宗教的要因が加わる。

 さらにイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が、南スーダンの混乱につけ込もうとする。北スーダンには、ISや国際テロ組織アルカーイダに共鳴する過激派がいる。情勢が急速に悪化していることを冷静に判断し、安倍政権は今回の決断を行ったのだと筆者は見ている。この背景には日本政府の高度なインテリジェンス活動がある。

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