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【iRONNA発】
外国人労働者受け入れ リスク招く政府の場当たり的対応 加谷珪一氏
一方、日本の人手不足は極めて深刻だ。特に、企業の労働力の中核となっている35歳から59歳までの人口はこの先20年間に26%も減少してしまう。これまでは若年労働者の不足だけで済んでいたが、今後中核労働力の減少という大きな問題に直面し、持続的な経済成長を妨げかねない。
この対策として(1)外国人労働者を受け入れる(2)女性や高齢者の就業を増やして労働力不足を補う(3)イノベーションを活用して生産性を向上させる、という選択肢がある。日本は無意識的に(1)を選択してきたわけだが、労働をめぐる環境はこのところ大きく変化している。
対策はAI化で
そこで有効なのはAI(人工知能)だろう。ロボットの導入で余剰となった人材を、人手が足りない分野にシフトさせることができれば、供給制限で経済が停滞するという事態を回避できる。というよりも、全世界的にAIの普及が進む以上、これを積極的に活用していかなければ、相対的に高い成長を目指すことが難しくなっているのだ。日本も労働力不足という問題に対して、外国人労働者の受け入れではなく、AI化で対応するのが望ましい。
ただ、これには問題もある。企業の現場にAIが普及すると、当然のことながら仕事の範囲が変わり、組織の人材を再配置する必要が出てくる。こうした動きは社内だけでは完結しないので、最終的には転職市場を通じた人材の流動化が必須となる。日本人はこうした人材の流動化に対する抵抗感が極めて大きく、これがAI化の進展を遅らせてしまう可能性があるのだ。