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【正論】「批評」とは日本を考えること 「宙づりの国」直視せず、むりやり健全さを装っているだけだ 日本大学教授・先崎彰容

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【正論】
「批評」とは日本を考えること 「宙づりの国」直視せず、むりやり健全さを装っているだけだ 日本大学教授・先崎彰容

日本大学教授・先崎彰容氏 日本大学教授・先崎彰容氏

 『ゲンロン』第4号は面白かった。この雑誌は、批評家である東浩紀氏が中心となって活動している「ゲンロンカフェ」グループの、いわば機関誌のようなものである。思想・文学・藝術に関心を持つ者同士が論じあうサロンと、そのサロンに集(つど)った者が書いた論文集の刊行、この2つがグループの主な活動なのだろう。

 筆者は直接の関係を持たないが、偶然手にした巻頭論文「批評という病」を一瞥(いちべつ)し、ひどく触発されたのである。

≪自分の思考を深め提案する≫

 物書きという職業は奇妙なもので、自分が抱えている仕事のための読書に疲れると、頭を休めるためにまた別ジャンルの本に手を伸ばしている。昔、知人の学者から「読書中毒の自分は、昼飯を食いに出かけても、目の前にある醤油(しょうゆ)ビンに貼ってある成分表を読んでしまう」と言われ、苦笑したことがあった。なぜ苦笑したか?-もちろん、筆者もまた中毒患者の一人だからである。

 さてしかし、箸休めのつもりで読んだ「批評という病」の内容とは何か。それは第1に、小林秀雄以来、当然のように市民権を得ていたはずの「批評」という分野が、いまや完全に死滅しつつあること。第2に、では改めて批評とは何であり、そもそも社会にとって必要なものなのかを問うている。つまり東氏という批評家自身が、自分の存在証明を必死で行っているわけである。

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