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【産経抄】空飛ぶ山岳救助隊員の悲劇 3月8日

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【産経抄】
空飛ぶ山岳救助隊員の悲劇 3月8日

 元検事総長の土肥孝治(どひ・たかはる)さんは、登山が趣味だった。検事総長在職中の平成8年7月には北アルプス・白馬岳を登山中、十数メートル下の沢に滑落して、腰の骨などを折る重傷を負っている。

 ▼この時ヘリコプターで病院に搬送したのが、「空飛ぶ山岳救助隊員」の異名を持つ篠原秋彦さんだった。篠原さんは、ヘリ救助の専門家が皆無だった昭和40年代から活動を始め、救った命は2千人を超える。

 ▼「あの時は怖かった。周りの人が“総長、総長”と呼ぶから、てっきり暴力団のエライ方かと思った」。後日再会した時の篠原さんの打ち明け話である。なごやかな会話から6年後、篠原さんは遭難者4人を救助した直後に転落死する。

 ▼長野県の山中で起きた消防防災ヘリの墜落事故で、消防隊員ら搭乗者9人全員が死亡した。ヘリは山岳遭難の救助訓練に入るところだったという。亡くなったのは、いずれも腕利きの「空飛ぶ山岳救助隊員」である。家庭にもどれば、「やさしい夫」であり、「子煩悩な父親」だった。

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