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【仙台「正論」懇話会】西修・駒沢大名誉教授講演詳報 「緊急事態条項、憲法に明記必要」「自主防衛力増強を」

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【仙台「正論」懇話会】
西修・駒沢大名誉教授講演詳報 「緊急事態条項、憲法に明記必要」「自主防衛力増強を」

「日米安保条約で必要なのはわが国が行動すること」と説く西修氏=23日、仙台市青葉区の江陽グランドホテル(大渡美咲撮影) 「日米安保条約で必要なのはわが国が行動すること」と説く西修氏=23日、仙台市青葉区の江陽グランドホテル(大渡美咲撮影)

 仙台市青葉区の江陽グランドホテルで23日に開かれた仙台「正論」懇話会の第47回講演会。会場には約80人の来場者が詰めかけ、「新時代の日本国憲法を考える」と題した駒沢大名誉教授の西修氏の解説に、熱心に耳を傾けた。

 以下、講演要旨と質疑応答。

      

 【講演要旨】

 日本国憲法の成立経緯は異常だ。憲法の成立には連合国軍総司令部(GHQ)と戦勝国からなる極東委員会(FEC)の関与と圧力があった。憲法草案がGHQで起草され、以後、どのように日本風に脚色するか、GHQ案とのせめぎ合いとなったが、結局、日本がGHQの圧力に屈せざるを得なかった。最終的にFECの承認が必要だった。

 1984~85年にGHQ民政局で憲法草案を起草した8人にインタビューしたが、「(すでに)改正されているとばかり思っていた」というのが共通認識だった。

 1940年代までの世界各国の憲法制定年と改正の状況をみると、(憲法が法典化されている)成典化憲法保有国189カ国中、1946年制定の日本国憲法は古い方に属するが、1回も改正されていない。

 1814年制定のノルウェーの憲法は400回以上改正されたともいわれ、1958年制定のフランスの憲法は2008年7月までに24回改正され、世界では頻繁に改正が行われている。いかに日本の憲法が異常かということが分かる。

 1990年2月のナミビア以降、2016年8月のタイまで新しく制定された103カ国の憲法をみると、平和主義条項は101カ国と98・1%が盛り込み、国家緊急事態条項は103カ国と100%が入れている。

 日本の憲法制定から現在まで国内外は変貌している。北朝鮮の核実験と中距離弾道ミサイルの発射実験は脅威だ。中国も海洋進出を強め、沖縄・尖閣諸島にも迫っている。喫緊の課題はわが国の安全であり、新しい時代における憲法構造の再構築が必要だ。

 日本国憲法の「上諭」には「朕は、日本国民の総意に基いて、(中略)ここにこれを公布せしめる」とある。いつ、どこで、どのように意思を問われたのだろうか。「ない」のであれば、実際に国民の意思を問うてみる必要がある。

 憲法改正では、「国の顔」である前文にわれわれの歴史や伝統を入れるべきだ。第9条は自衛力保持の有無をはっきりさせる。天皇を元首として明記し、国家緊急事態条項も必要だ。

 憲法の価値は緊急時にこそ問われる。他国から侵略されたときに何も書いていないのでお手上げというわけにはいかない。憲法にきちんと書いておくことが、憲法の価値となる。その意味で日本の憲法は価値があるか。われわれ自身が真摯(しんし)に考える必要がある。

 【質疑応答】

 講演後の質疑応答では、来場者から憲法学者のあり方を問う質問があり、西氏は「日本の憲法学は、世界の議論に比べて幅が狭い。最近は比較的現実的な見方をする人が出てきているので、そういう人たちに期待している」と述べた。

 また、憲法制定時には選挙などを通じて、日本国民の総意は問われていたのではないか、という質問には「現行憲法は連合国軍総司令部(GHQ)の案が原案となっている。日本側が修正するにあたっても、GHQの意見を尊重しないといけなかった」とした。

 その上で「(敗戦国としての)さまざまな制約があった中で憲法が作られた。相対的に考える必要があるが、『日本国民の総意が問われたか』という二者択一の質問なら、その答えには疑問符が付く」と述べた。

 さらに、憲法の前文では日本の目指す国家像を記す必要があり、「自助努力」という言葉が必要ではないかという問いに対しては、「米国は日本の平和への努力を理解し、日本の防衛力増強を理解してきた。日米安保条約に必要なのは、わが国が行動すること」と強調。「変わりゆく世界の現実を見つめ、自主防衛力を高めていくことが大事だ」と説いた。

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