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【新聞に喝!】子供たちが避難いじめに遭うのは、原発事故を過度に危険視するからだ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

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【新聞に喝!】
子供たちが避難いじめに遭うのは、原発事故を過度に危険視するからだ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

 最近ずっと話題になっている問題に、東京電力福島第1原発事故で他県に避難した子供たちが転校先でいじめを受けた-というものがある。

 昨年11月に横浜市の中学生の例から発覚し、生徒の手記も公表された。それによると、中学生は黴菌(ばいきん)扱いされ、「賠償金が入ったから」と金銭を要求され、150万円を取られた。しかもそれは、かなり前の小学生時代から続いていたという。

 その後、「避難いじめ」の事例は続々と判明し、新潟市、東京都千代田区、川崎市、千葉県などで報告されている。東日本大震災から間もなく6年になるというのに、今頃問題になっているのは、まことに不思議である。

 いじめの口実はいろいろあるだろうが、原発問題というのは、やはりきわめて特異である。この場合、子供のやることは大人のまねをしているのであって、この点に注目している2月7日の産経新聞「主張」はそれなりに評価できる。

 「『放射能がうつる』など、いわれなき悪口で傷つける。被災者の痛みを知らぬ卑劣な行いだ。その責を子供だけに問うことはできない。根拠なく原発事故の影響を不安がり、風評をあおるような大人の行動に、根っこがあることを認識すべきである」と指摘している。

 この「主張」には、避難いじめの背景に「大人の行動」があるとし、また、末尾で「新聞などメディアを含め差別と偏見を許さない社会をつくることに心したい」とある。

 だが、やはり最大の責任があるのは、新聞、テレビ、出版社などのマスコミではないのか。マスコミはこの問題で、教育行政の側の対応をしきりに批判しているが、そもそも原発事故の被害を過度に危険視する報道が、避難いじめの根本にあるからである。

 この「主張」にも、「風評」「風評被害」が言及されている。ただし風評は自然現象ではない。それを作り出すことができるのは、国家権力でも、ネットでもなく、マスコミ権力以外にはない。

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