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【新聞に喝!】空々しい偽善を感じる 知っていたはずのメディアが書く天下り批判 京大霊長類研教授・正高信男

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【新聞に喝!】
空々しい偽善を感じる 知っていたはずのメディアが書く天下り批判 京大霊長類研教授・正高信男

 ■京都大学霊長類研究所教授・正高信男

 60年を超える私の人生で一度だけ、東京大学にしばらく身を置いたことがある。学生としてではなく教員(当時の助手)として在籍したのだが、当時、東大の教員の定年は60歳と定められていた(今は違っている)。そのころ63歳か65歳が普通であった国立大学のなかでは例外的で、赴任早々に上司である教授から、その理由を聞かされることになった。日本の最高学府で得た英知をよそへ教え広めるという使命を遂行するため、あえて若年で去るようにしてあるのだという。これを聞いたときの私の驚きは今も生々しい。

 こういう発想は東大を出て国家公務員総合職に就いた人々の多くに、脈々と受け継がれているように感じる。定年退職した高級官僚の多くは、在職中に培った見識を他の職場に分かち与えることを天命と思っているのだろう。それなのに世間はどうして「天下り」だと批判するのか、非常に不満に感じている人が多いようにみて取れる。だからいわゆる“天下る”ことに、やましさを感じていないのだ。

 もちろん法律に違反する行為を認めるわけにはいかないし、度が過ぎた厚遇や業界との癒着を疑われかねない再就職への批判は承知している。ただ、日本を背負っているという自負のある高級官僚に接したことのある人なら、前述のような感想を持つこともあるのではないか。

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