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【東京特派員】盛り場といえば…やはり「東は千住でしょ」 湯浅博 

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【東京特派員】
盛り場といえば…やはり「東は千住でしょ」 湯浅博 

 海外からの旅行者に、銭湯の場所を聞かれるらしい。荒川近くには、ニシキゴイが20匹もいる庭付きの「タカラ湯」がある。

 屋根は2段構えの千鳥破風。なかなかに重厚感がある。入り口には30センチ角の板に開店中を意味する「わ」の文字が浮いていた。湯が沸いているという意味らしい。なるほど銭湯には珍しく縁側から見る庭が美しい。湯船につかれば極楽、極楽。後ろには、世界に誇る富士山のペンキ絵である。

 「タカラ湯」は昭和2年の開業、近くには鉛筆工場や赤線地帯もあって大いににぎわった。この日、番台に座る松本益実さん(64)によると、戦後は自家風呂を持つ家はほとんどなく、この地区だけでも37軒の銭湯がひしめいていた。

 「子づれが多く、6、7人のお手伝いさんが、手分けして子供の脱衣を手伝っていたほど」

 昭和30年代ごろまでには工場も赤線も消えた。松本さんと話し込んでいると、「ここはいいねぇ、足立区内に残る銭湯は全部行きましたがね」と同好の人が声をかけてきた。やはり、「東は千住でしょ」といいたいらしい。(ゆあさ ひろし)

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