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【産経抄】2月5日

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【産経抄】
2月5日

 才能の光る季節は人それぞれに異なるものだろう。人生を四季にたとえれば、春浅い頃に花開く人は「早熟」と呼ばれる。秋から冬にかけてつやを現す器には、「晩成」の名がつく。

 ▼将棋の羽生善治棋聖はしかし、ひとときの輝きだけでは語れない才能もあるという。情熱や努力を傾け続ける力こそ、得難い才能ではないのかと。77歳と1カ月、棋士生活は64年目になる。盤上に今日も渾身(こんしん)の一手を刻み付けるその人に、羽生棋聖の言葉が重なる。

 ▼加藤一二三(ひふみ)九段である。勝負が深夜に及ぶこともある棋士は、駒音と引き換えに命をすり減らす稼業だろう。規定により「引退」が報じられたのは1月下旬の紙面だった。「今後の対局も残っており、全力投球する所存です」と老いを寄せ付けぬ談話が印象に深い。

 ▼最年長勝利や2500対局の達成は、引退が決まった後である。当時最年少の14歳7カ月でプロ入りし「神武以来の天才」と騒がれた人も名人位を手にしたのは42歳だった。一颯(いっさつ)の閃光(せんこう)に終わらず、いまもなお高い熱量を保ち続ける姿には賛美の言葉がふさわしい。

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