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【正論】経営者の意志が働き方を変える 崇高な理念を政治家自身の言葉で語りかけよ 甲南大学教授・加護野忠男

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【正論】
経営者の意志が働き方を変える 崇高な理念を政治家自身の言葉で語りかけよ 甲南大学教授・加護野忠男

甲南大学教授・加護野忠男氏(頼光和弘撮影) 甲南大学教授・加護野忠男氏(頼光和弘撮影)

≪法の強制は改革に繋がらない≫

 安倍晋三内閣は、労働時間の短縮、正規従業員と非正規従業員の賃金格差の解消、女性や高齢者が働きやすい職場づくりなどを目指した働き方改革を実行しようとしている。これらの目標は働く人々だけでなく、企業にとっても望ましいものだ。しかし、施策を実行するに当たって、法律で強制するという方法が採用されるならば、逆効果が心配である。違反者に罰則を与えることによって基準の実行を迫るという方法には、3つの深刻な問題がある。

 第1は法律の基準にのみ注意が向けられ、その他の施策に目が向けられなくなることである。過労死をなくすためには労働時間を減らすことが不可欠だが、それ以外にも叱り方や励まし方、課題の与え方の工夫、適切で時宜を得た教育訓練などの施策がなければ、残業時間を短縮しても精神的肉体的なストレス解消にはならない。

 第2の問題は、基準値を満たせないような低レベルの企業を減らすのには効果があっても、高レベルの改革の促進には繋(つな)がらないことである。実際に優れた労働慣行は、まず先端的な企業によって自発的につくられた例が手本になって、ほかの企業がまねるという形で普及してきた。

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