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【産経抄】瞳に映るのは? スマホで狙われるピースサイン 1月30日

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【産経抄】
瞳に映るのは? スマホで狙われるピースサイン 1月30日

容疑者が撮影したスマホ内画像のイメージ 容疑者が撮影したスマホ内画像のイメージ

 太宰治の『雪の夜の話』という作品に、人間の目玉の話が出てくる。デンマークの医師が、若い水夫の水死体を解剖すると、網膜に美しい一家団欒(だんらん)の光景が残されていた。友人の小説家はこう推理する。

 ▼船の難破で海に投げ出された水夫が、無我夢中でしがみついたのは灯台の窓際だった。窓の中をのぞくと、灯台守の一家がつつましくも楽しい夕食を始めようとしていた。ここで自分が助けを求めて叫んだら、一家の団欒がめちゃくちゃになる。そう思った瞬間指先の力が抜け、水夫は波に呑(の)まれてしまったというのだ。

 ▼刑事事件の被害者の瞳に残っていたのは、そんな美しい光景ではない。徳島県警が押収した容疑者のスマートフォンには、被害者の顔写真が保存されていた。画像編集ソフトを使って瞳の部分を拡大してみると、スマホを構えている容疑者の姿が浮かび上がってきた。これが容疑者の犯行を裏付ける、重要な証拠となったという。県警鑑識課のお手柄である。

 ▼鑑識課の仕事といえば、指紋の採取と鑑定のイメージが強い。指紋は犯罪捜査に使われるだけではない。スマホやパソコンのロック解除や金融サービスを受ける際、指一本で本人確認できる便利さが重宝されている。

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