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【正論】年頭にあたり 健全な「国家理性」に基づく力の発揮、躊躇せぬ氣概を持て 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

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【正論】
年頭にあたり 健全な「国家理性」に基づく力の発揮、躊躇せぬ氣概を持て 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

東京大学名誉教授・小堀桂一郎 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

 昨年の年頭述志に際しては当年の国民的課題として、初等中等教育課程に於(お)ける国語教育の重視と大学教育に於ける基礎学の充実を二本の柱として、教育の再建の必要性を説いた。本年も謂(い)はばその文脈の延長線上に浮上して来る一箇の理念的目標についての所思を述べさせて頂きたい。

≪個人としての「強さ」とは≫

 目標といふのは昨年提示した二つの課題を総合してみればそれになるとも云(い)ふべき上位の理念であつて、それは国民が個人としても全体としても先(ま)づ強い力を有つ事を美徳と見る、その認識を涵養(かんよう)したい、との提案である。

 教育の文脈から云つても義務教育段階に於ける国語能力たる読解力、言語表現力(会話と作文を併せ考へて)、語彙の豊かさ等は即ち子供の総合的知力であり、この力を十分身につけた者には自然に人生万般に亙(わた)る自信が具はつてくる。それは巷間(こうかん)に喧(かまびす)しい話題となつてゐる「いぢめ」に対する何よりも有効な防衛力である。

 それだけではない。かうして知力を身につける事の有効性を認識した子供は、もし自分に基礎的な体力や運動機能の点で弱味があると悟つた場合、自ら進んでその欠陥を補ふべく体を鍛へることの重要性に氣が付くはずである。「強い」といふ事が人間の重要な美徳の一つだとの認識に達したならばそれだけでも彼の人生は成功を保証されたも同然だと考へてよい。

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