産経ニュース

【赤の広場で】「公務員の深刻な汚職体質」が旧ソ連のEU加盟を阻む 「自由より経済」の現実

ニュース コラム

記事詳細

更新

【赤の広場で】
「公務員の深刻な汚職体質」が旧ソ連のEU加盟を阻む 「自由より経済」の現実

 欧州連合(EU)加盟を目指す旧ソ連モルドバの領内で、親ロシア派勢力が支配する「沿ドニエストル」という特殊な地域を昨年、取材で訪れた。ロシアが経済危機に陥るなか、その援助を受ける沿ドニエストルの状況も深刻で、「モルドバ政府との関係を回復させなくては、立ちゆかなくなるのでは」と強く感じた。

 ただ今月、モルドバ大統領選のため首都キシニョフをつぶさに取材する機会があり、困惑を覚えた。中心部ですら街灯がまばらで、歩道の舗装もひどい。沿ドニエストルとあまり変わらないと感じた。投票所に来た男性は「今の給与はアフリカ並みだ。これでどうやってEUに入ろうというんだ」と“親欧州派”政権を批判した。

 地元記者は「人々は民主主義にあこがれたが、政権のやっていることは欧州統合と何ら関係がない」と嘆いた。一昨年には国内総生産の10%以上が突然銀行から消える事件が起き、政権や当局の関与が疑われている。「公務員の深刻な汚職体質はソ連時代の名残だ」と識者は語った。

 結局、選挙では親露派候補が勝利した。支援者という携帯電話店の店員は「ロシアに言論の自由はないかもしれないが、中国や北朝鮮だってそうだろう」と記者に語った。旧ソ連の厳しい現実を見せつけられたと感じた。(黒川信雄)

関連ニュース

「ニュース」のランキング